そしてオフィスに戻り、いつものように郵便受けを覗く。
請求書や納品書の封筒の山に隠れるようにして、古い本が一冊あった。
紙は飴色に焼け、表紙の色も褪せている。
私はその本を手に取り、表紙をめくった。
運命といのち (ビッ愚卍)
いのちの中の一部に
運命があるのだろうか
運命の中の一部に
いのちがあるのだろうか
どちらにせよ
人生とは
限られた中での
解釈のことを云う
人間はプログラムが好きだ
しかし偶然というロマンチックも好きだ
出会いは運命に意図されている
しかし出会いをどう解釈するかは
あなたの意図にゆだねられている
そう書き出しがある本の作者はカワバタケンイチと記されていた。
果てしなく永い時間をたどって、私は私と再び出会うことになったのだ・・・・
カワバタケンイチの世界へようこそ
これから一緒に
いのちに灯りを燈していきましょう
大きな愚に絡み合いながら
